とから働く。作られたものが作るものを作る、作られたものから作るものへである。故に人間はポイエシス的である、歴史的身体的ということができるのである。而して表出即表現の立場から働くとして、それは論理的ということもできるであろう。
 右にいった如く、個物は何処までも個物として創造的であり、世界を形成すると共に、自己自身を形成する創造的世界の創造的要素として、個物が個物である。矛盾的自己同一として作られたものから作るものへという世界は、形から形へと考えられる世界でなければならない。始に現在が現在自身を限定するといった如く、形が形自身を限定すると考えられる世界でなければならない。多と一との絶対矛盾的自己同一の世界は、かかる立場からは何処までも自己自身を形成する、形成作用的でなければならない。かかる意味において自己自身を形成する形が、歴史的種というものであり、それが歴史的世界において主体的役目を演ずるものであるのである。私の形といっているのは、実在から遊離した、唯抽象的に考えられる、静止的な形をいうのではない。形から形へといっても、唯無媒介的に移り行くというのではない。多と一との矛盾的自己同一とし
前へ 次へ
全104ページ中15ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
西田 幾多郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング