。日に至ったといい得るであろう。私はドイツ哲学の優秀を疑うものではないが、右にいったように、フランス哲学にはフランス哲学に独得なものがあり、それはドイツ哲学やイギリス哲学にはないものであると思う。概念的体系に捕われて案外に内容の貧弱なものよりも、かえって直覚的な物の見方考え方において優れた所があるかと思う。私は考えるに、ギリシャ哲学には深い思索的な概念的な所と、美しい芸術的な、直感的な所があった。前者はドイツ人がこれを伝え、後者はフランス人がこれを伝えたといい得るではなかろうか。



底本:「日本の名随筆 別巻92『哲学』」作品社
   1998(平成10)年10月25日発行
底本の親本:「西田幾多郎随筆集」岩波書店
入力:加藤恭子
校正:nns
2000年8月29日公開
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