る様にして盆栽室の方へ行って了った。余は全体何者を斯う恐れるのかと振り向いて見ると、茲へ這入って来る一組の客は実に意外な人々で有る。一番先に立つのが余の元の許嫁浦原お浦で、お浦と手を引いて居るは、先刻殺人女輪田お夏の墓の辺にたたずんで居て余に認められた、彼の鳥巣庵の住人、ノッペリした紳士で有る、其の背後からお浦と共に外国に行って居た根西夫妻が遣って来る、扨は秀子が逃げたのは此の一行を恐れたに違い無い、真逆にお浦から仲働きの古山お酉などと疑われるが辛くての事でも有るまいが、兎に角余はお浦に逢って其の手を引ける紳士の名をも知らねば成らぬと思い、進み出でお浦の前に立った、お浦は平気な顔で「道さん貴方は此の方を御存じですか、之は此の塔の前の持主、不幸なお紺婆の養子で高輪田長三と云う方です、叔父さんへ此の塔を売り渡したのも此の方です」扨は是がお紺婆の相続人であるのかと、余は初めて知ったが、是でお浦の目的も分った、此の人ならば無論仲働きお酉の顔を知って居る故、夫で秀子を此の人に見せ、爾して化の皮を引剥《ひんむ》くと云う積りである、其の執念の深いには驚くが、夫にしても秀子が此の人を恐れて逃げたのは何
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