を見開き「オヤ、貴方には未だ之が分りませんか」
第百十二回 夜水竜哭
真に此の塔の底に其の様な宝が有るだろうか、余は半信半疑である、秀子は此の様を見て悶《もど》かしげに「貴方は其を疑いますか、若し宝を隠す為でなければ何の為に此の様な、人の出入る事の出来ぬ塔を立てたとおおもいなさる」余「イヤ何等かの秘密を隠す為とは思いますけれど、其の秘密が果たして宝で有るとも見認《みと》め得ませんが」秀子「其れだから私が咒語を研究なさいとお勧め申したのです、咒語の意味を能く考えれば明白に分ります」余「何うも私には爾まで明白に解釈する事が出来ません」秀子「では私が此の家に存《のこ》って居る記録や古来人の口に存って居る所などを寄々に取り調べて自分で合点して居るだけの事を申しましょう、最う長く話して居る時間も有りませんから、掻い摘んで申しますが」と、斯う云って秀子は説き初めた。
秀子「此の家の第一の先祖が昔の国王ランカスター家の血筋から出て居る事は勿論御存じで有りましょうが、其のランカスター家の最後の王であった顕理《へんりい》六世が死する時に、後の王位をヨーク家より争われ相に見えましたから、六世は昔か
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