と、此の時又更に大きな雷光が差し殆ど目の眩めくほどに光った。之が天の助と云う者か、此のお影で今迄蝋燭の光に見えなんだ深い深い塔の底の秘密が殆ど歴々《ありあり》と余の目に見えた。
第百七回 一種の叫び声
何が幸いになるかも知れぬ、差し込んだ雷光が余の為には天の詫宣《おつげ》であった、此の光で塔の底の秘密が見えた。
此の時まで余は、自分の蹈んで居る床が何の様に為って居るか少しも心附かなんだが、俯向いて居る所へ何千何百万燭光とも譬え様のない強い光が閃き込んだので、床の有様が歴々と見えた、即ち角な木を格子の様に組んだ者で木と木との十文字の間に網の目の様に穴が明いて居る、何の為だか知らぬけれど或は埃の溜らぬ用心ででも有ろうか、此の穴から光は尚深く、底の底まで差し込んだ、勿論少しの間では有るけれど、余はチラリと見て取った、其の底の底に何でも石の階段とも云う様な段々が有る、是が咒語に在る「階廊迂曲」に当るのだろう。
爾して其の下に人だか何だか兎に角着物を被た者が横たわって居る、或は之が秀子では有るまいか、勿論見直す暇のない間に電光は消えて、元の暗闇になったから、少しも取り留めた所はないが或
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