は其の様な卑劣な了見では――」権田「其の様な卑劣な了見ではないとならば、直ちに幽霊塔へかえり、私の申す通り、秀子に心底から愛想を盡される様にお仕向け成さい、貴方が秀子に愛想を盡させさえせば秀子は終に私の妻、サア私の妻に極まりさえせば三日と経ぬうちに其の汚名は消えますから」余「だって夫は」権田「だって夫はと云う其の心が即ち私と同じ心では有りませんか、秀子を救うて自分の妻に仕たい、縦しや救うにも自分の妻にせねば詰らぬと斯う云うに帰着します、自分の妻にせねば救わぬと云う私の心と何の違いが有りますか、若し違うとならば茲で明らかに私に向かい、秀子を妻にせずとも宜いから何うか汚名だけ助けて呉れと何故斯う仰有いません」
なるほど斯う云われて見れば、余の心とても権田の心と大した違いはないか知らん、妻にせずして唯救うだけでは何だか飽き足らぬ所が有る、エエ余自らも人と云われぬ鬼心に成ったのか、茲で全く秀子を思い切り、秀子に生涯の愛想を盡される様にして爾して秀子の助かる道を開かねば成るまいか、折角清浄無垢の尊敬す可き女と分った所で、直ちに愛想を盡される仕向けをせねば成らぬとは余り残念な次第では有るが、之を
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