して貰う為に来たではないのですか、その為でなくば何の為です、貴方の目的は何所に在ります」余は身を悶えて「エエ、其の様な目的ではないのです、貴方に逢えば秀子の素性の清浄潔白な事が分るかと思ってハイ其の清浄潔白を世に知らせる確かな証拠を得たいと思って」先生「オヤオヤ夫はお気の毒です、少しでも秀子の素性を潔白らしく認めたくば私の許へ足踏みをしては成らぬのです、茲は穢い素性ばかり集めてある畜蔵所の様な者ですから、手もなく貴方は反対の方角へ来たのです」余「ハイ是で自分の愚かさに愛想が盡きまして」先生「そう仰有られては私も、何とも早やお気の毒に堪えませんが、と云って先刻受け取った報酬をお返し申す訳には行きません、私は何所までもアノ報酬に対し自分の勤むべき丈勤める覚悟のみならず報酬を得た上で無くば打ち明けられぬ貴重な秘密を打ち明けて、云わば貴方に活殺《かっさつ》の灸所を握られたと一般ですから」
 勿論報酬を返して貰い度いなどとは思わぬ、唯何となく悔しくて殆ど身の置き所もない程故、余は何の当ても決心もなく、徒《いたずら》に室の中を駆け廻った、今思うと定めし気違いじみて居た事だろう。
 頓て余は、再び卓
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