「今の学者が若し専心に、私と同様の事を研究したなら、人間の顔を作り直す事が出来るのですけれど、彼等は唯名誉を揚げるが先で、上部だけは様々の研究もしますけれど、名誉の外に立ち、世間から隠れて学術と情死する程の決心を以て必死に研究する事は致しません、だから私の専門の技術に於いて、私に及ばぬのです、ナニ私としても名誉を好む心があれば此の発明を世に知らせます、之を知らせたなら空前の発明だとか、学術上の大進歩だとか云って私の前へ拝跪《はいき》する人が沢山出来ましょう、世界中の医学新誌などは争うて私の肖像を掲げましょう、けれど私は夫は嫌いだ、嫉妬の多い学者社会に名を出して面倒の競争をするよりも、静かに我が発明の実益を収めるが好い、此の術を世間に知らさず唯独りで秘めて居れば、隠す者は現われる道理で夫から夫へ聞き伝え、貴方の様に権田時介の様に、輪田夏子の様に、密かに尋ねて来る人が一年に十五人や三十人は必ずあり通例名誉ある医者や学者の二人前位は実益を収める事が出来るでしょう」
滔々《とうとう》と述べ立てる先生の有様は、宛も気焔を吐きたくて、誰か聞いて呉れる人を待って居たとでもいう風である、余は唯我が心
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