室へ入れません」秀子「附いて居る看病人です、多分は警察から探偵をば看病人の様に姿を変えさせて寄越したのだろうと私は初めから疑って居りますが」余「夫にしても余り乱暴な疑いでは有りませんか、何も父上を殺すべき謂われがないのに」秀子「イイエ其の謂われが有るのだから、運の盡と申すのです。何から何まで私が父上を殺さねばならぬ様に総て仕組が行き届いて居ます。誰か私を憎む者が――イヤ真逆に其の様な人が有ろうとは思われませんけれど、有るとでも思わねば合点が行きませんもの」
 余は恐ろしい夢を見て居る様な気持だ。「イエ秀子さん、誰が何と仕ようとも又運が何の様に悪かろうとも、最う私が居るなら、大丈夫です、決して貴女へ其の様な疑いを掛からせて置きは仕ません。既にお浦の事件でも貴女にアレ程重く疑いの掛かって居たのを私の言葉で粉微塵にしたでは有りませんか。少しも心配なさらずに全く私へ任せてお置きなさい」
 秀子「其の様に行けば、何ほどか嬉しかろうと思いますけれど、今度の事ばかりは、何方の力にも合いません」
 云う中にも余を便りにして幾分かは落ち着く様子が見える。余は何にしても叔父の容体が気に掛かるから、幾度も秀
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