当の悪いと云う非難は免れぬかも知れませぬけれど、それを罪跡などとは」余「成るほど私の思い違いかも知れません、併し罪跡か否やの鑑定は貴方と私と素人同志で茲で争ったとて果てしがないから先刻も云う通り其の筋の判断に任せましょう、寝台が陥穽に成って居て、眠って居る者を出し抜けに古井戸へ落し込んだり、或いは当主の母が燈火を持って、庭へ穴を掘り、爾して公の手続きも経ずに埋めた死骸が数の知れぬ程あるなどは、其の筋で医者の普通と認めるか、縦し又普通と認めた所で、家の当主には何の構いもない者か、其の辺の所は直ぐに分りますから、其の方が早道です。ドレ穴川さん誠に長座を致しました」と故と謝する様に云い、余は胸の中に充分の勝利を畳んで、座を立ちかけた。

第六十四回 新たな生命

 余が愈々立ち去ろうとするを見て、穴川はあわてて熱心に引き留めた。「お待ち成さい、お待ち成さい丸部さん、少し云う事が有りますから」
 偖は彼全く閉口したと見える、余は言葉短かに「何ですか」穴川「貴方は未だ秀子の身の上を知らぬのです、私を追い払えば秀子が助かると思うから間違いです。秀子の身の幸福にする事の出来るは広い世界に唯一人しかな
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