奸夫《まおとこ》と見たのだナ奸夫《かんぷ》が奸婦と密《しの》び逢て話しでも仕て居る所へ本統の所夫《おっと》の不意に帰って来たとか云う様な訳柄《わけがら》で(大)爾です全く爾です、私しも初から奸夫《まおとこ》に違い無いと目を附けて居りましたが誠の罪人が分ってから初て奸夫では無かったのかナと疑いを起す事に成りました(荻)夫《それ》は何う云う訳で(大)別に深い訳とても有ませんが実《まこと》の罪人は妻が無いのです夫《それ》は後で分りました(荻)併し独楽を廻す位の子が有れば妻が有る筈だが(大)イエ、夫《それ》でも妻は無いのです或は昔し有たけれど死だのか離縁したのか、殊に又其の子と云うのも貰い子だと申します(荻)貰い子か夫《それ》なら妻の無いのも無理ではないが、併し―若し又|羅紗緬《らしゃめん》でも有はせんか(大)私しも爾《そう》思って其所《そこ》も探りましたが、兎に角自分の宅《うち》には羅紗緬類似の女は一人も居ません(荻)イヤサ家に居無くとも外へ囲《かこ》って有れば同じ事では無いか(大)イエ外へ囲って有れば決して此通りの犯罪は出来ません何故と云《いう》に先《まず》外妾《かこいもの》ならば其|密夫
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