に独楽が有たとして見れば此支那人には七八歳以上十二三以下の児《こ》が有ます(荻)成る程爾だ(大)此証拠は是だけで先ず留《とめ》て置きまして再び髪の毛の事へ帰ります、私しは初め天然の縮毛で無い事を知《しっ》た時、猶お念の為め湯気で伸して見ようと思い此一本を鉄瓶の口へ当《あて》て、出る湯気にかざしました、すると意外千万な発明をしたのです実は罪人の名前まで分ったと云うも全く其発明の鴻恩です、其発明さえ無けりゃ何《ど》うして貴方、名前まで分りますものか」荻沢も今は熱心に聞く事と為り少し迫込《せきこ》みて「何《ど》、何う云う発明だ(大)斯《こう》です鉄瓶の口へ当ると此毛から黒い汁が出ました、ハテなと思い能々《よく/\》見ると、何うでしょう貴方、此毛は実は白髪《しらが》ですぜ白髪を此様に染めたのですぜ、染てから一週間も経つと見え其間《そのあいだ》に五厘ばかり延びてコレ根の方は延びた丈け又白髪に成て居ます(荻)成る程白髪だ、熟《よ》く見れば白髪を染《そめ》た者だ、シテ見ると老人だナ(大)ハイ私しも初めは老人と見込を附《つけ》ましたが猶お考え直して見ると第一老人は身体も衰え、従っては一切の情慾が弱くな
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