り其代り堪弁《かんべん》と云う者が強く為《なっ》て居《おり》ますから人を殺すほどの立腹は致しませず好《よし》や立腹した所で力が足らぬから若い者を室中《へやじゅう》追廻《おいまわ》る事は出来ません(荻)夫《それ》も爾《そう》だな(大)爾ですから是は左ほどの老人では有りません随分四十に足らぬ中に白髪ばかりに成る人は有ますよ是も其類です、年が若く無ければアノ吝嗇《しわんぼう》な支那人ですもの何うして白髪を染めますものか、年に似合ず白髪が有て能《よ》く/\見ッとも無いから止《やむ》を得ず染たのです(荻)是は感服だ実に感服(大)サア是から後は直《じき》に分りましょう支那人の中で独楽を弄ぶ位の子供が有《あっ》て、年に似合わず白髪が有て、夫で其白髪を染て居る、此様な支那人は決して二人とは有ません(荻)爾《そう》とも/\、だが君は兼て其支那人を知て居たのだな(大)イエ知りません全く髪の毛で推理したのです(荻)でも髪の毛で名前の分る筈が無い(大)ハイ髪の毛ばかりでは分りません名前は又外に計略を廻らせたのです(荻)何《ど》の様な計略を(大)イヤ夫《それ》が話しの種ですから、夫を申上る前に先ず貴方に聞て置く
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