はえ》る者では有りません、何《ど》の様な事が有《あっ》ても生《はえ》た儘の毛に逆髪《さかげ》は有ません、然るに此三本の内に一本|逆毛《さかげ》が有るとは何故でしょう即ち此一本は入毛《いれげ》です、入毛や仮※[#「鬟」の「口」の下の部分に代えて「小」、33−17]《かもじ》などには能く逆毛の在る者で女が仮※[#「鬟」の「口」の下の部分に代えて「小」、33−17]を洗ッて何うかするとコンガラかすのも矢張《やっぱ》り逆毛が交ッて居るからの事です逆毛と順の毛と鱗が掛り合うからコンガラかッて解《とけ》ぬのです頭の毛ならば順毛ばかりですから好《よし》んばコンガラかッても終には解《とけ》ます夫《それ》や最《も》う女髪結に聞《きい》ても分る事(荻)夫が何の証拠に成る(大)サア此三本の中に逆毛が有て見れば是は必ず入毛です此罪人は頭へ入毛を仕て居る者です(荻)夫《それ》なら矢ッ張り女では無いか女より外に入毛などする奴は無いから(大)爾《そう》です私しも初は爾《そう》思いましたけれど何《ど》うも女が斯う無惨《むざ》/\と男を殺すとは些《ち》と受取憎いから色々考えて見ますと、男でも一ツ逆毛の有る場合が有ますよ
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