)夫では最《も》う何《ど》うしてもお紺を召捕らねば(谷)爾ですとも爾だから帰ったのです何でも未だ此府下に隠れて居ると思いますから貴方に願って各警察へ夫々《それ/″\》人相なども廻し其外の手配も仕て戴き度いので、私《わた》しは是より直《すぐ》に又其浅草の氷屋で何う云う通伝《つて》を以てお紺を雇入たか、誰が受人だか夫を探し又愈々築地に居る母とか何とか云う者が有るなら夫《それ》も探し又、先の博奕宿が未だ有るか無いか若し有るなら昨夜|何《ど》の様な者が集ッたか、其所《そのところ》へお紺が来たか来ないか、と夫から夫へ段々と探し詰ればナニお紺が何所に隠れて居ようと直に突留めますお紺さえ手に入れば殺した者は誰、殺された者は誰、其訳は是々と直《すぐ》に分ッて仕舞います」何の手掛も無き事を僅か一日に足らぬ間に早や斯くまでも調べ上《あげ》しは流石老功の探偵と云う可し、荻沢への説明終りて又も警察署を出て行く、其門前にて「イヨ谷間田君、手掛りが有《あっ》たら聞《きか》せて呉れ」と呼留《よびとめ》たるは彼の大鞆なり大鞆は先刻宿に帰りてより所謂《いわゆる》理学的論理的に如何なる事を調《しらべ》しや知らねど今又谷間
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