血の文字
黒岩涙香
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)斯《こ》うも
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)宿の者|等《ら》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+擧」、第4水準2−13−59]《あぐ》れば
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)あア/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
前置(著者の)
「あア/\斯《こ》うも警察のお手が能《よ》く行届き、何《ど》うしても逃れぬ事が出来ぬと知《しっ》たら、決して悪事は働かぬ所だッたのに」とは或《ある》罪人が己《おの》れの悪事露見して判事の前に引据《ひきすえ》られし時の懺悔《ざんげ》の言葉なりとかや、余《よ》は此《この》言葉を聞き此記録を書綴る心を起しぬ、此記録を読むものは何人《なんびと》も悪事を働きては間職《ましょく》に合わぬことを覚《さと》り、算盤珠《そろばんだま》に掛けても正直に暮すほど利益な事は無きを知ら
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