とへ出ろ」という叫び声を聞きながら、一人でそとへ出ようとしたところへ、四、五人の私服がぞろぞろとやって来て、「ちょっと来い」と来た。
四
警察はすぐ近くだ。僕は手どり足どり難なく引っぱって行かれた。
やがて警察の前で大勢のインタナショナルの歌が聞えた。叫喚の声が聞えた。警察の中庭に潜んでいた無数の警官が飛びだした。僕は警察の奥深くへ連れこまれた。
(これは後で聞いた話だが、会場の中の十数名の女連が先頭になって、ただ日本の同志だというだけで名も何にも分らない僕を奪い返しに来たのだそうだ。そして警察の前で大格闘が始まって、女連はさんざん蹴られたり打たれたりして、その結果百人ばかりの労働者が拘引されたのだそうだ。警察の中ででもなぐったり蹴ったり、怒鳴りわめいたりする声が聞えた。)
僕は国籍も名も何にも言わなかった。旅券も身元証明書も、そんな書類は何にも持っていないと言いはった。その他の取調べに対してはほとんど何にも答えなかった。
が、やがてそこへコロメルがはいって来た。僕を貰いに来たのだ。そして僕に旅券通りの名を言うようにと勧めて行った。そのあとへまた、司会者の男が二、三
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