はメーデーじゃないか、お揃いでどこへ行くんだい。」
僕はすぐそばに立っている男に話しなれた労働者言葉で尋ねた。
「ああ、そのメーデーのお蔭で休みだからねえ。うちじゅうで一日郊外へ遊びに行くんさ。」
その男はあまり綺麗でもない妻君の腰のあたりに左の手を廻しながら呑気そうに答えた。そしてその右の手にはサンドウィッチや葡萄酒のはいった籠がぶら下っていた。
僕はその男の横っ面を一つ殴ってやりたいほどに拳が固まった。
あちこちの壁にはられてあるC・G・T・Uのメーデーのびらは、みなはがれたり破られたりしていた。そしてそのそばには「メーデーに参加するものはドイツのスパイだ」というような意味のC・G・T(旧い労働総同盟)のびらが独り威張っていた。
セン・ドニの労働会館は、開会の午後三時頃から、八百人余りの労働者ではち切れそうになっていた。
演説が始まった。予定の弁士が相続いて出た。ルール占領反対、戦争反対、大戦当時の政治犯大赦、労働者の協同戦線、というような当日の標語《モットオ》が、いやにおさまり返った雄弁で長々と説明された。聴衆の拍手は段々減って来る。大きな口のあくびが見える。ぞろぞ
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