\一九二三年四月三十日、パリにて――
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牢屋の歌
一
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パリに
すきなこと二つあり
女の世話のないのと
牢屋の酒とたばこ
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へたな演説には、きっと長口上の、何やかの申しわけの前置きがある。歌だってやはりそうだろう。と、まず前置きの前置きをして置いて、さて、そろそろと長口上に移る。
パリの女の世話のないことは、前の「パリの便所」の中で話した。が、そこでは、物がちょっと論文めいた形式になったために、大分かみしも[#「かみしも」に傍点]をつけて、その中の「僕」という人間がいつもその世話のない女を逃げまわっているように体裁をかざっていた。
が、体裁はどこまでも体裁で、事実の上から言えばそれは真赤なうそだ。逃げまわっていたどころじゃない。追っかけまわしていたくらいなのだ。
その追っかけまわしていた女の中に、ドリイという踊り子が一人いた。バル・タバレンと言えば、パリへ行った外国人で知らないもののない、あまり上品でない、ごく有名な踊り場だ。そこの、と言ってもちっとも自慢にならないのだが、とにかくそこの女の中でのえりぬ
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