ちゃ》の自動車だの馬車だの馬だの獅子だのを乗せて、騒々しい楽隊の音と一緒に廻らしている。そして、いい年をした大人がそれに乗っかって喜んでいる。下が小さな船の形をしたブランコがあって、そこへ若い男と女とが乗って、その船がひっくり返りそうになるまで振っている。大きな輪のまわりに籠が幾つもぶらさがっていて、そこへ一人一人乗って、輪が全速力でグルグル廻る。前の籠と後の籠とがぶつかり合う。みんなキャッキャッと声をあげて喜んでいる。往来に人を立たして置いてパッと写真をとる大道写真師もいる。
そしてこの連中がみな、一団ずつ、電車の小さな箱くらいの車をそばに置いて、その中に世帯を持っている。この車でフランスじゅうをあるいはヨーロッパじゅうを歩き廻っているのだ。
僕は前に浅草と言ったが、それよりもむしろ九段の祭りと言う方が適当かも知れない。もっとも僕はもう十年あまりも、あるいはそれ以上にも九段の祭りは知らないのだが。
そこへうじょうじょと、日本人よりも顔も風もきたないような人間が、ちょっと歩けないほどに寄って来る。実際僕はヨーロッパへ来たと言うよりもむしろ、どこかの野蛮国へ行ったような気がした。
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