そしてその後、日本の浅草よりももっとずっと上等の遊び場へ行って、そこの立派な踊り場やキャフェの中にも、やはりこの玉転がしや文《ぶん》まわしがあるのにはさらに驚いた。
 そしてさらにその後、リヨンで、町の人達がよく遊びに行くリイル・バルブへ行った。翻訳すれば羊の鬚島だが、リヨンの町の真ん中を通っているサオヌ河の少し上の、ちょっと向島というようなところだ。が、そこには白鬚様があるのでもなし、ただ小さな島一ぱいに、パリの貧民窟のと同じドンチャンドンチャンがあるだけの話だ。
 それから、このリヨンの停車場前の広場が何かで大にぎやかだというので、ある晩行って見るとやはり同じドンチャンドンチャンと、玉転がしと文まわしと鉄砲とだ。そしてそこをやはりパリのと同じように、五フランか十フランかの安淫売がぞろぞろとぶらついている。
 フランス人の趣味というものはこんなに下劣なものだろうか。



底本:「大杉栄全集 第十三巻」現代思潮社
   1965(昭和40)年1月31日発行
※本作品の冒頭部分は、山根鋭二さん入力、浜野智さん校正ですでに公開してきた。ただしこれは抄録であるため、「パリの便所」以降を、
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