売禁止され、その署名人と筆者とはラ・サンテにほうりこまれている。

    十

 パリに着いた晩、夕飯を食いに、宿からそとへ出て見て驚いた。その辺はまるで浅草なのだ。しかも日本の浅草よりも、もっともっと下劣な浅草なのだ。
 貧民窟で、淫売窟で、そしてドンチャンドンチャンの見世物窟だ。軒なみに汚ないレストランとキャフェとホテルとがあって、人道には小舎がけの見世物と玉転がしや鉄砲やの屋台店が立ちならんでいる。そしてそれが五町も六町も七町も八町も続いているのだ。
 黒ん坊の野蛮人が戦争している看板があげてあって、その下に、からだじゅう真黒に塗った男や女や子供が真っ裸と言ってもいいような恰好をして、キイキイキャアキャア呼びながら槍だの刀だのを振り廻して見せている。その隣りは、「生きた人蜘蛛」という題で、顔だけが人間であとは蜘蛛の大きな絵看板がかかげてある。そしてその次には、玉転がし、文《ぶん》廻し、鉄砲、くじ引き、瓶釣り、その他あらゆるあてもの[#「あてもの」に傍点]の店がならんでいる。普通にものを買える店は一つもないのだ。そしてさらにまたその次には、ぐるぐる廻る大きな台の上に、玩弄品《おも
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