間はいくら、五年間はいくら、十年間はいくら、十五年間はいくら、というようにだんだんその率のあがって行く、給料や恩給の金額も、ことさらに大きく太い文字で書きならべてあった。

    六

 たぶん香港《ホンコン》からだったろう、一人の安南人らしい、白い口髯や細いあご髯を長く垂らして品のいいお爺さんが乗った。
 僕はこのお爺さんと一度話しして見ようと思っていたが、とうとうその機会がなくって、西貢かで降りてしまった。海防から乗った若い安南の学生に聞くと、もとの王族の一人で、今も陸軍大臣とか何とかの空職に坐っているのだそうだ。ロシアの旧将軍が三等で威張っているのは、ちょいと滑稽だったが、これは何だか傷ましいような気がした。
 それでもこのお爺さんは、温厚らしいうちにも、どこか知らに侵すことのできない威厳をもっていた。が、一般の安南人となると、見るのもいやなくらいに、みな卑劣と屈辱とでかたまっているように見えた。そしてこれは、安南人が他の東洋諸民族にくらべて顔も風俗も一番われわれ日本人によく似ているようなのでなおさらいやだった。
 海防や西貢の町を歩いて見ても、安南人はみな乞食のような生活をし
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