。
「あれはこいつらがやったんだな。」
僕はそいつらの顔を見るとすぐ、その日陸で読んだある新聞の記事を思いだした。
安南の土人がやっているフランス文の日刊新聞の中に、大きな見だしで、ある殺人事件を論じてあった。事件はごく簡単なもので、土人の一商人が川の中に溺れ死んでいた、というだけのことだ。が、それがただそれだけで済まないのは、そうしたことがずいぶん頻々とあって、しかもその原因がいつもちっとも分らない、いや分ってはいるがそれをはっきりと公言することができない、そこに妙な事情がからんでいるからだ。
「ええ、あいつらは何をするか知れたもんじゃない。恩給と植民地の無頼漢生活とをあてに、十年十五年と期限を切って、わざわざこんな植民地へやって来る。本当の職業的軍人なんだからね。」
フランスの水兵のジャン君もすぐと僕の直覚に同意した。そして僕は、デッキででも食堂ででもいつも傍若無人にふるまっているそいつらとは、とうとう終いまで、ただの一度も「お早う」の挨拶を交わしたことがなかった。
その後僕はフランスに着いてから、あちこちの壁に、この植民地行きを募集する陸軍省の大きな広告のびらを見た。三年
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