兵十名ばかりとのほかに、十五、六名のロシア人がいた。そして僕がさっそく仲間になったのは、このフランスの水兵の中の一人と、ロシア人の中の若い学生十人ばかりとだった。
フランスの水兵は、揚子江上りの砲艦に乗っていたのだが、満期になって国へ帰るのだった。始終一緒になって、何かの鼻歌を歌いながら、デッキの上を散歩していた。その中に一人、いつもみんなとは別になって、どこかの隅に坐って本を読んでいる、まだごく若い利口そうな顔つきをした男がいた。
僕はまずその男とすぐ知りあいになった。フランス語の会話のけいこにと思って、ボンジュル・ムッシュ(こんにちは)とか何とか話しかけたのがもとだった。
僕は年は二十八、社会学専攻の一学生、労働問題研究のためのフランス留学、という触れこみだった。したがって、その水兵との話は、お互いの身分や行くさきの問答のあとで、すぐフランスの労働運動のことにはいった。
彼自身が何等かの運動に加わっていたのでもなし、また特別に研究したというほどでもないので、その話から得るところといっては何もなかった。が、この男の、兵役や戦争に対する峻烈な攻撃は、その身分がらずいぶん面白く聞
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