かく警察へ行って、それから船へちょっと行って室だの寝台だのの番号をたしかめて、さらにまた引帰してもう一晩友人等とお別れの遊びをしよう、というつもりだったのだ。
 警察では、パリの警視庁から来た長文の電報を前に置いて、いろいろと取調べのあった末に、私服を一人つけて、船へ一緒にやらした。
 僕は船の中でのいろんなことがきまると、友人等と一緒に飯を食う約束のうちへ行こうと思って、船から降りようとした。すると、さっき僕について来た私服が、ほかに三人ばかりの私服と一緒に昇降口の梯子のところに突っ立っていて、通さない。
「もう船に乗った以上は、降りることはできない。国境から出てしまったんだ。降りれば、再びまた国境にはいったものとして、六カ月の禁錮に処する。」
 そんな馬鹿なことがあるもんか、それならそうと何故さっきそう言わないんだ、といろいろに抗弁して見たが、要するに何とも仕方がない。
 僕は船のボーイに電話をかけさせて、友人等にそのことを知らせて、そして自分の室の中に寝ころんだ。
 船は六月三日の朝早く碇をあげた。
[#地付き]――一九二三年八月十日、東京にて――
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外遊雑話


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