た。
「僕はセン・ドニでやられたんだが、コンバの方はどうでした?」
「それや、ずいぶん盛んでしたよ。演説なんぞはいい加減にして、すぐ僕等が先登になってそとへ駈けだしましてね。電車を二、三台ぶち毀して、とうとうその交通をとめてしまいましたよ。」
 この男もやはり無政府主義者で、もとは機械工だったんだが戦争で手を負傷して、今は何やかやの使い歩きをして食っているのだった。そして、去年もやはりコンバで大ぶあばれたんだそうだが、その時には一人も捕まらずに済んで、彼も無事に家に帰った。が、ことしは警察がばかに厳重で、あばれかたは去年と大差はなかったのだが、百人近く捕まったのだそうだ。
「ことしは警察も大ぶ乱暴だったが、裁判所も厳重にやるって、弁護士が言ってましたよ。あなたの方は、それじゃ、追放だけで済むんでしょうが、僕はまあ半年ぐらい食いそうですね。」
 こんな話をしている間に、みんなは法廷に引きだされたのであった。そして僕が仮監へ帰って来ると、間もなくその男も帰って来た。
「あなたもすぐ出れますね。僕も今晩出ますよ。やっぱり六カ月食うには食ったんですが。でも、この名誉のてんぼ[#「てんぼ」に傍点
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