で見たクレンクビュの活動写真で、このボテふりの親爺が初めて牢に入れられて、ポカンとしたしかし嬉しそうな顔をしながら室の中を眺め廻している姿を思いだした。
 僕はまずこの室がひどく気に入ってしまった。そして一と通りの検分がすむと、さっきスプリングを試して見た寝台の上にごろりと横になって、煙草に火をつけた。

 しばらくすると、看守が半紙二枚くらいの大きさの紙を持って来て、それをテーブルの上の壁にはりつけて行った。
 活版刷りだ。「酒保売品品目および価格」と大きな活字で刷って、その下に「消耗品」と「食品」との二項を設けて、いろいろと品物の名や値段を書きつけてある。
 インク、紙、ペン、頭のブラシ、着物のブラシ、鏡、石鹸、スポンジ、ポマード、タオル、巻煙草、葉巻、刻み煙草というように、普通の人間の日常要るものは大がいならべてある。
 また、パン、ビフテキ、ローストビーフ、ソーセージ、オムレツ、ハム、サーディン、マカロニ、サラダ、キャフェ、チョコレート、バター、ジャム、砂糖、塩、米というように、普通の食品を二十ばかりならべた上に、なお数種の果物と葡萄酒とビールとまでがはいっている。
 そしてそ
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