フだ。彼女自身を救おうとしているのだ。心の奥底に感じている僕の愛を確かめて、そして自分は何等かの職業によって自分自身の支柱を得ようとしているのだ。
野枝さん。
君は、先日の手紙によって、すなわち保子に対する君の心持を書いてよこした手紙の僕の返事によって、保子に対する僕の心理の告白によって、君はすっかり泣かされてしまったと言う。僕自身も保子の悲哀を見るたびに、またそのことを思うたびに、とても堪えられないほどの苦痛に攻められるのだ。本当に幾夜泣きあかしたか知れない。
野枝さん。
君は、どんなに僕が、保子に対して残酷であったかを知っているか。僕は、これほどまでに保子の心持を理解していたのに、そしてまた、彼女のいわゆる盲目や醜悪についての僕自身の十分な責任を感じていたのに、どうしても僕は、彼女に対して残酷な態度に出でなければならなかったのだ。彼女のいわゆる盲目や醜悪を見せつけられると、それの嫌悪に堪え得られないのと、および恐らくはその責任を感じることに堪え得られないのとで、いっさいを忘れて憤怒に捉えられてしまう。彼女のいわゆる盲目と醜悪とによって、僕自身までが、本当の盲目と醜悪とに陥っ
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