創生せられたことを、巧みに論証している。種族闘争の第一歩は、一種族による他の種族の征服である。他の種族よりも優れた武器と戦略的才能とを持っている一種族が、勝利を占めて征服者となる。そして他の種族は被征服者の地位に落ちる。
この征服によって、まったく異なった二種族が密接な接蝕をすることとなる。しかし彼等はとうてい同化することができない。いわばその社会は両極に分れるのである。征服者は常に被征服者を蔑視する。あらゆる方法をもって奴隷化する。被征服者はまた、仕方なしに服従しながらも、征服者の暴力以外のいっさいのものを認めない。かくして互いに敵視し反感する二種族が、社会の両極を形づくることとなる。
けれどもこの二種族の不平等は、地位の不平等ということ以上に、なおあるものがあったのである。もともとこの二種族は先きにも言ったごとく、まったく異なれる種族である。彼等は異なれる言語を使っている。異なれる神を崇拝している。異なれる様式と礼拝とを行っている。異なれる風俗と習慣と制度とを持っている。そして被征服種族は、それらのものの一つでも失うよりは、むしろ退治し尽されることを望んでいる。征服種族はその臣
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