征服の事実
大杉栄

−−
【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#感嘆符二つ、1−8−75]
−−

 樗牛全集の中に、ブランデスの何かの本から抜いた、次の文がある。
「少なくともヨーロッパの四大国民の名は、いずれもみな外国の名である。フランスの名称は、ライン河の西岸に棲んでいたフランク人から来たもので、この国民の祖先たる古のケルト人とは、何の因縁もないのである。イギリスの名は、もとドイツの一地方から来たもので、アングロサクソン民族とは、何の血族上の連絡もないのである。ロシアの名は、もと北方の起原で、スカンジナビアの一民族たる、ロゼルの転訛したものである。プロシャはプロイセンというスラブの一蛮族の名で、十二世紀の終り頃に、ドイツにはいったのである。」
 この事実は、僕が今ここに述べようとすることと、あるいは関係のあるものもあり、あるいはさほどに関係のないのもあるかも知れぬ。けれども、これを読んだ時の僕自身に取っては、これが深い社会事実を思わせる
次へ
全9ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
大杉 栄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング