新潟や長岡の中学校の食いつめものもいた。
それらの年長者がいろんなことを僕等の間に輸入した。学校が始まってから間もなく、寄宿舎にいる二、三の年長者達が十三、四の七、八人の生徒を連れて、女郎屋へ遊びに行った。これはすぐ学校に知れてその年長者等は退校になった。それ以来、そうした方面のことはまったくなくなった。
そして生徒の間にすぐに一番の勢力を占めたのは、他の中学校を流れ歩いて来たごろつき連中だった。この連中はみな一人ずつごく年少のそして顔の綺麗なのをその親しい友人に持った。彼等はお互いに指を切って、その血をすすり合って、義兄弟の誓いをした。
一年の間は僕もまだそんなことは知らなかった。が、二年の末頃になって、やはりそれを覚えて、指を切ったり血をすすったりはしなかったが、一人の弟を持った。
この風習はその後二年も三年も僕につきまとった。
煙草を吸うこともやはりその頃に覚えた。
父がいつも吸っている中天狗というのをちょいちょい盗んでは吸い覚えた。そしてしまいには父が大事にしてしまっている葉巻までも盗みだして吸うようになった。
三
中学校にはいったのと同時頃に、高等小
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