だ。
 が、僕のこの例を見て、仲間が大ぶ増えた。そしてその仲間等は、僕が一緒にいれば見つかって捕まっても大事はないと思ったのか、いつも僕を誘っては取りに行った。僕はこの仲間の中にはいって妙なことを発見した。それは、みんなの弾丸を一つにまとめて、ジャン拳で番をきめて、どこかへそれを売りに行くのだった。そして帰りには何かの菓子を買って来た。僕も一度その仲間入りをした。もっともジャン拳だけは遁れた。それがどうした訳だったか、その一度きりで僕はまた仲間はずれになってしまった。この仲間というのは、町はずれの、ちょっと貧民窟といったようなところの子供等だった。

 この家の裏に広い竹藪があった。栗だの、柿だの、梨だの、梅だのの、いろんな果物の木もあった。
 そしてその竹藪には、孟宗のほかに、細い、その竹の子をおもちゃにしてポンポン吹いて鳴らす竹があった。やはりどうかした拍子に急に会いたくなって、僕は一度、その竹の子を持って光子さんのところへ行ったことがあった。

 しかしこの竹藪はそんな優しいことばかりには使われなかった。
 新発田は新発田町というのと、新発田本村というのと二つに分れていた。町とい
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