(資夫)の細君の麗子君と一緒に、何かやろうなどとも言っていた。しかし、それも麗子君にはあまりよく賛成されず、またひそかに頼みにしていた青山菊栄君(今の山川夫人)からは態よく拒られて、彼女は半ばそれを断念するとともに、その口惜しさのあまりを僕等の計画の上に反感として向けもしたようだ。そしてその上に彼女は、僕等の計画の上に、また僕や伊藤の上に、どうしてそんな金ができるものかという侮蔑や冷笑も持っていた。
 実際僕等はずいぶん困っていた。そして僕や伊藤が困りきっている時には、いつも神近が助けに来てくれていた。そんな場合の十円か二十円の金すらも工夫のできない僕や伊藤に、数百円というまとまった金のできる筈のないことを思うのも、彼女としては当然のことであった。そして、今から思えばこうも邪推されるのであるが、彼女はそれを知りぬいていて、郷里まで金策に行くという伊藤に二度までも旅費をかしたのであった。
 僕は神近に、雑誌の保証金が、それがどうしてできたかということは言わずに、ただできたというだけのことを話した。そして当分葉山へ行くということを話した。
「葉山へは一人で?」
 保証金の方のことは彼女には
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