度や組織を変えればいいものと信じている。
 もっともどっちかと言えば俺も Panlogists だ。機械的定命論者だ。けれども俺の論理の中には、俺の機械的定命論の中には、大ぶいろんな未知数がはいっている。俺の理想の実現は、この未知数の判然しない間、必然ではない。ただ多少の可能性を帯びた蓋然である。俺は奴等のように将来の楽観はできない。そして将来に対する俺の悲観は、現在における俺の努力を励まさしめるのだ。
 俺のいわゆる未知数の大部分は人間そのものである。生の発展そのものである。生の能力そのものである。さらに詳しく言えば、自我の能力、自我の権威を自覚して、その飽くところなき発展のために闘う、努力そのものである。
 経済的行程が、俺達の工場の将来を決する、一大動力であることは疑わない。けれどもその行程の結果として、いかなる組織と制度とをもたらすべきかは、かの未知数、すなわち俺達の能力と努力とに係わるものである。組織といい制度という、それは人間と人間との接触を具体化したものに過ぎない。零と零との接触、零と零との関係は、いかようにしても、要するに零である。
 けれども俺は、今日すでにできている
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