表者を出すことに勉めて、あの会議の多数党となって、そうして俺達の思うままに議決をすればいいんだ。」
「みんなは黙って鎖を造っていればいい。鎖をまきつけていればいい。そしてただ、数年日に来る代表者改選の時に、俺達の方の代表者に投票をすればいいんだ。」
「俺達の代表者は、だんだん俺達の鎖をゆるめてくれると同時に、最後に、俺達の胃の腑の鍵を主人の手から奪い取ってしまう。そして俺達は、この鎖を俺達の代表者の手にあずけたまま、俺達の理想する新しい組織、新しい制度の工場にはいるんだ。」
 俺は一応、もっともな議論だとも思った。しかしただその数をたのみにしているところ、また自分よりも他人をたのみにしているところなどが、どうも気に食わない。そしてそいつらが科学的だとか言っているその哲学を聴くに及んで、こいつらもやっぱり俺の仲間ではないと覚った。
 こいつらは恐ろしい Panlogists だ。そして恐ろしい機械的定命論者だ。自分等の理想している新しい工場組織が、経済的行程の必然の結果として、今の工場組織の自然の後継者として現れるものだと信じている。したがって奴等は、ただこの経済的行程に従って、工場の制
前へ 次へ
全11ページ中7ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
大杉 栄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング