との手紙は見た。この項はそれぞれ読んできかすなり、また見せるなりしてくれ。
 いつか話のあったように、もし兄が誰か世話してくれるというなら、一つ伸を頼んで見ないか。これならもう三、四年学校へやればモノになるのだし、中学も一番か二番で卒業しているのだから、相応のことはやると思う。もっとも、全部の世話でなくとも多少でもいいが。実際、六人の世話はとても僕等にはできない。またもし銀之丞から何とか言って来たら、誰でもいい一人頼むことにしたい。あれはごく正直な、そしてかなり裕福ないい農夫だ。これらのことはなお僕の出獄後いろいろ取計らうつもりだ。
 まず大体の結末はついた。ついては、一応の始末を、主なる親族に報告せねばなるまい。うるさい親類交際もいやだが、ともかく義務だけは果して置こう。母の処分、遺産の処分、現在の生活、近き将来の生活(すなわち伸や松枝のこと)の大体を書いて、以後は僕等二人で引受ける、安心してくれ、なお僕等の手のとどかぬところは有形無形のお助けを乞う、というようなことにして、足下と伸との連名で出してくれ。東京では、山田、茂生。名古屋附近では猪、銀之丞、中村、中根、小塩、および名をちょ
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