学のあるものの外は、実際において教師あるいは通訳の外にはほとんど役に立たぬ。もし語学に趣味があるようなら、早稲田の英文科でもやったらどうだろう。もっとも、必ずしも語学校は悪いと言うのではない。いずれにしても入学期は四月だ。急いでその準備をさすがいい。
 松枝は三月まで今の学校にいて、四月には東京の何処かに転校して、そしていろいろ足下の手伝いをさせたい。
 勇の学校の規則書を見ないので程度がよく分らんが、僕は次のように思う。この四月あるいは九月に、何処かの中学の三年か四年に入れたい。神田の正則予備校を始めその用意をする学校はいくらもある。また、各中学では、毎学期に盛んに募集をやる。そして中学校を終えて高等工業へでもはいる予定でいるがいい。もっとも中学へはいるよりは、他の多少専門的の同程度の学校の方が都合よければ、それでもいい。自分でよく調べて見るがいい。また、他に相談する人もあろう。
 進は、もう中学校にはいってもいい頃と思う。近くもあり、また比較的整ってもいる早稲田がよかろう。
 ともかく、みんなにできるだけ望みの専門学校をやらすつもりだから、よく勉強するように言ってくれ。
 松枝と勇
前へ 次へ
全118ページ中83ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
大杉 栄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング