っていた文学、ことに日本および支那の文学書を猟りたい。この監獄は社会主義的の書物は厳重に禁じているが、文学書に対してはすこぶる寛大な態度をとっているらしい。まず古いものから順次新しいものに進んで、ことに日本では徳川時代の俗文学に意を注いで見たい。これは別に書物を指定しないから、兄※[#始め二重括弧、1−2−54]女房の、堀柴山※[#終わり二重括弧、1−2−55]や守田※[#始め二重括弧、1−2−54]有秋君※[#終わり二重括弧、1−2−55]などに相談して毎月二、三冊の割で何か送ってくれ。本箱の中に青い表紙の小さな汚ならしい本が五、六冊並べてある。その中の Avare(吝嗇爺)というのを送ってくれ。横文字の本は書名と語名とを書き添えることをわすれないように。
ドイツ語もようやく二、三日前にあのスケッチブック※[#始め二重括弧、1−2−54]アービングの、独訳※[#終わり二重括弧、1−2−55]を読み終った。たとえて見ると、ちょうどおたまじゃくしに足が二本生えかかったぐらいの程度だろうか。来年の夏頃までには尾をつけたまま、陸をぴょんぴょんと跳び歩くようになりたい。そしてこの尾がとれたら
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