を催させる。したがって始終気も忙しなく、また日の経つのもひどく遅く感ぜられた。しかし、こんどはそんなことは夢にも思わず、ただいかにしてこの間を過ごすべきかとのみ思い煩う。そして、これこれの本を読んで、これこれの研究をして、などと計画を立てて見ると、どうしてももう半年か一年か余計にいなければとても満足な調べのできぬ勘定になる。さあ、こうなるともう落ちついたものだ。光陰も本当に矢のごとく過ぎ去ってしまう。長いと思った二年半ももう二年の内にはいった。ついでに言う、僕の満期は四十三年十一月二十七日だそうだ。
先日の面会の時に話した通り若宮※[#始め二重括弧、1−2−54]卯之助君※[#終わり二重括弧、1−2−55]に次のように言ってくれ。この二カ年間に生物学と人類学と社会学との大体を研究して、さらにその相互の関係を調べて見たい。ついては通信教授でもするつもりで、組織を立てて書物を選択して貸して[#「貸して」は底本では「借して」]くれないか。毎月二冊平均として総計五十冊は読めよう、と。そしてもし承諾を得たら、第一回分として至急三、四冊借りて送ってくれ。
なお、そのかたわら、元来好きでそして怠
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