って、毎日のように待っていたけれど、まだ何とも音沙汰がない。堺も山川も同じことだ。あるいは予審の決定を待っているのじゃないかと思う。察するに、今夜あたり決定書が来て、そして明日早朝、赤い着物になるのかも知れぬ。
 保釈の金は戻ったことと思う。その処分については、なお会ってよく話そう。お為さんも困っているだろう。あすこからの借金だけは、ともかくも返して置くがいい。お為さんがうちのあとへ来て、そして足下が二階へ行ったのだそうだね。
 守田は『二六』をやめられたそうじゃないか。大恐慌だろう。細君はどうだ。秋水も土佐を出たとか、東京へ着いたとかいう話だが、どうしたか。いつか常太郎君から差入れがあったが、帰って来ているのか。宮永はどうしている。南の魚屋はどうした。諸君によろしく。
 大森へ旗の縫賃を払ってくれ。いくらとも決めてはなかったのだが、いいように払って置いてくれ。何だか裁判所へ証人として呼び出されたような様子だが、もしそうだったらわびをして置いてくれ。
 エスペラントの夏季講習会はどうしたろう。
 電車の刑を執行されても、巣鴨へ行くようなことはない。みんな済ましてから行くのだろう。
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