重括弧、1−2−54]獄中で少し気が変になって自分は神様だと言い出した一同志※[#終わり二重括弧、1−2−55]はどうした。一と思いに腐れ縁を切ってしまわなくっちゃというので、誰にも会わずにすぐ船で大連へ行くと言っていたが。なるほどああいう男もできるのだから、お上でわれわれを監獄にぶちこむのも多少はごもっともとも思われる。僕もすっかり角を折ってしまった。こんどこそは大いにおとなしくなろう。もう喧しいむずかしいことはいっさいよしにして、罪とがもない文芸でも弄んで暮すとしようか。それとも伸※[#始め二重括弧、1−2−54]弟※[#終わり二重括弧、1−2−55]のように三井あたりで番頭にでも[#「番頭にでも」は底本では「番頭にで」]雇おうと言うなら、金次第でどこへでも行こう。ほかに何にも芸はないが、六カ国ばかりの欧州語なら、堅いものでも柔らかいものでも何でも御意のままに翻訳する、というような触れで売り物にでも出ようか。しかしせっかくこうしておとなしくなろうと思っていても、お上で依然として執念深くつきまとうようなことがあっては、何もかもおジャンだ。
来月の初めには父の忌日が来る。いっさいの儀
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