いさ。しかし、来たものは何んとも仕様がない。これは意志でもなし精神でもない。霊魂だからね。有り難く僕はお受けしたさ。」
 東野の平然としてそういう胸の裏のどこかに、まだ矢代の手の届かぬものを彼は感じた。
「有り難くね。」
「うむ、――」と東野は頷いたまま黙って矢代を見ていてから、「だって君、これは日本人がそれだけ苦労したことだよ。その他のことじゃないよ。それだからこそ、われわれの神様だってそれをお認めになって、よしよしと優しく仰言って下すったというもんだろう。僕には、そういう他国の宗教精神というものは、それ以外に感じようがないのだよ。それ以外の感じようというものは、いくら上手く云えたところで、僕には嘘に見えるのだ。見えれば仕様があるまい。」
「じゃ、神なんじと伴にありと、いうのも、やはりその神さん、僕らの国の神さまだという意味にも、あなたにはなるんですね。」矢代はそう問いつつも顔の赧らんで来るのを覚えたが、そこが東野の芸の壊れどころだと思い彼の眼の中を瞶めていた。
「それはそうだよ。」と東野はここだけ妙に静かに答えた。そして、なお穏やかに角壜の中の水を見た。「しかし、そういうことを云う
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