いさえされて来るのだった。
「京都へはいつお発ちになって。」
「ちかぢか行くつもりです。」
「なるたけ早くお帰りになって下さいね。あたしもお邪魔でなければ、御一緒したいんだけど――お母さんきっといいって云うと思うの。でも、お宅の方の御都合もあるでしょうから、御遠慮さしていただいてもいいんですのよ。」
 千鶴子は足袋の筋目にパラソルの先をあてがい、前に蹲み込む姿勢で横の矢代の表情を窺うように云った。父の亡くなる前から一度京都へはともに行くのも、たしかに二人に勉強になることだという意味で、千鶴子たちに矢代は話したこともあったこととて、いま彼女からそう云われて返事に窮する筋合もなかったが、とにかく、この度びのは父の骨を携えての旅行であった。そのような常の約束とは性質の違う旅の日には、遊山のように浮き立って誘う気分にもなれず、無理にも随いたい意の彼女から出るまで、この返事は待つことにしたいとも考えられた。
「昨夜も実はそのことで、妹にぜひ連れて行けと駄駄をこねられましてね、京都までならともかく、九州の方へも行くとなると、僕も承諾しかねてるのです。」
「でも、お妹さんお伴したいと仰言るの、御無理
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