度に声を上げて泣いた。また父の夢を見たと云っては泣いた。母からからかわれると、泣かない母を不思議だと云って無遠慮に腹を立てた。
「あたしはもう、悲しさがどうしても取れないわ。月日がたつと、あきらめられると人は云うけれど、あたしはそんなに思えない。毎日毎日だんだん淋しくなるばかりですもの。」とそう云って幸子は悄気るばかりだった。
「お前さんを連れてったら、逢坂山のトンネルを這入った途端、また泣かれるね。」
「それや泣いてよ。」
 矢代は初めは冗談のつもりでそんなに云ったのも、実際自分も、父の手がけたそのトンネルの中に這入れば何ごとか今から感慨が起って来そうだった。また京都の街を見降す位置にある本願寺の納骨堂に父の骨を納めることは、この街に電力を送っている宇治川の水電を成就させた父の心も安ませることだと思ったが、幸子には、その灯も涙の種になるのかもしれないと思ったりした。
 家の周囲には、桜の木が多いというわけではないのに、日ごろ無視されがちだった小木まで陸続と花を咲かせた。それは呼び合うように凄じい勢いで空を占めとり、一年の盛時の絶頂を極めほこる自然の華やかさで、庭の内外、小路の両側、土
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