の位相幾何学の連続の問題と共通した難問の部分だとのことで、またこの解決はまだついていない、もっとも斬新な、数学界に於ける華形として登場して来た射影幾何の部門に属するため、矢代がその幣帛の研究方法をどこから得て来たのか、訊ねて来てくれるようとの槙三からの依頼だった。千鶴子はこんな難しい話を云いがたそうに矢代に話しているとき、
「一寸、そこのあなたたちのお話、聞き捨てにならないな、何んです。」
と、今まで二人の話を聞いていなかった筈の男爵が、そう云って矢代の方に身を傾けよせて来た。がやがや話していた食卓の長い両側の列が、皆一斉に話をぴたりと停めると、千鶴子と矢代の方を振り向いた。槙三ら数学者たちといい、ここの外国帰りらといい矢代は、彼らの注目を受けるや、世界の全体が急にこちらを向き返って来たようで自然と緊張を覚え、ぼっと暖く光りのさしのぼって来るのを感じるのだった。
「あなたは帰ってくるなりお祭りの話なんかされるもんだから、つい僕も、いろいろ思いあたることが出来てきて、難しいことになったのですよ。」
その場は矢代も平尾男爵にそう云ったまま笑った。
「何んだい君、今のその話は?」
東野
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