って帰って来たんだよ。農業とか、芸術とか、その他の生産関係など、殊に工業にまでこれを及ぼすべきだと考えるんだが、まア、僕の考えは君の現実派に比べて理想派だけれども、理想派必ずしも非現実主義ではないので、むしろ、君より僕の方が現実主義だとも自慢し得るんだがね。しかし、それはさて措き、農業経済というような点から考えたって、日本内地の手の込んだ集約主義の農業の成功というやつは、やはり、町村の祭りが根本だということは、これは誰も異存なく認めなければならんのだから、いろいろ云われる例の、外地の大農主義というものにしてもだね、僕は自然にこれからその中へ介入して来る科学にまで、祭りを忘れしめぬように発展さすべきだと、こんな風に考えてみるんだよ。つまり、科学祭りというものをだね。」
何を云い出すかと思っていた一同は、思いがけない男爵の話から、答える術もなく、軽い一種の失望を泛べた表情でにやにやしながら黙っていた。すると、千鶴子だけ一人、何か急に思い出した様子で、首を上げ、傍の矢代を意味ありげに見詰めたが、由吉が突然、「殿さまにはなりたいものだね。」と云ったので、その拍子にどっと上った一団の笑声に邪魔
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