察したものか、あるいは千鶴子から塩野に云い出してあったものか、そこは矢代にも分らなかったが、しかし、気を利かせてそう塩野の云ってくれたことは、何よりこのときの矢代には嬉しく、思わず顔にまでそれが顕われた。
「しかし、それは気の毒だなア。」
「自動車の席、一寸都合つけてくれないかね。」
 矢代は塩野へ感謝するしるしに軽く頭を下げてから、「どうぞ、どこへでも乗ってくれ給え。」と云って、自動車の傍へ二人を連れて歩みよった。母と妹が家に残っていていない今の場合、矢代も親戚たちのことは気にしていられず、喪主の立場から選択して、二人を自動車へ乗せると、このことが何より今日父に報告すべき大切な事実のように思われて来るのであった。
「でも、後の方たち乗れるかしら。わたしたちこんなところへ乗ったりして。」
 と千鶴子はまだ躊躇の様子で、動かぬ霊柩車の飾りの中を眺めて云った。委員長の川奈という青年は、親戚たちに振りあてる車の指図をし終えてから、最後に矢代の車へ乗り込んで来たが、意外な二人の客を見ると、一寸不審しそうな表情で会釈をしたまま黙っていた。
「やっとお蔭でこれですみました。」と矢代は委員長に礼を云
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