爵はまた興味ありげな表情で、矢代に訊ねた。
「あなたがたの年齢の人の中心問題は、今はどういうことにあるんですかね。わたしは注意してみてるんだが、まだ何んとなく要領を得ないのですよ。」
「それはいろいろややこしいことが、こんがらかっているので一口には云えないのですが、やはり、東洋の道徳と西洋の科学やキリスト教などとの、踏み込み合ってる足の問題が、中心のように思えますね。西洋が二十世紀だからといって、東洋もそうだとは限らないですから、そこを何んだって、西洋の論理で東洋が片づけられちゃ、僕等の国の美点は台無しですから、果してそんなに周章てて美点を台無しにすべきかどうかという、そこの疑問から今のすべての論争が発展したり、押し籠められたり、引き延ばされたりしている始末なんだろうと、僕は思うんです。さっきお隣りの部屋で皆さんの仰言っていられた、あんな問題も、やっぱりそれと同じことじゃないかと、僕は面白くお聞きしていましたのですが。」
矢代は老人にもこのような問題には心を向けて貰いたく思い、少し出すぎた調子も和らげず強める風に云ってみた。
「つまり、じゃ、二十世紀の道徳と科学の問題というわけですね
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