て人には分らない点が、どうもいつも損ばかりして来たのですね。また一つはそこが良いのだけれども。」
矢代はそう云いながらも、ふと来る途中雪の中で見た、玉の緒をつらねて飛び去った夢の千鶴子の姿を思い描いた。そして、あの千鶴子とこの千鶴子、と思い較べ、なおよく眼の前にいる彼女を更めて見直すのだった。
「じゃ、古神道って、カソリックも赦して下さるものなのね。」
千鶴子はそれで初めて安心したと云いたげに眉を開いた。
「それは明治六年の三月十四日以来ですよ。僕はちょっと調べてみたんだが、その年には内閣の大臣が、家族の葬式をカソリックの式にして、外人の導師に随って公然と行っていますね。その日までは、カソリックのことを邪宗門といっていたのが、それからは逆に古神道が邪宗といわれる風が生じて来ているのです。それも日本の法律が神道ではなく、あくまで古神道を中心に創られているのにですよ。いつの間にやら万事すべてがあべこべなんだ。」
槙三はやはりにやにや薄笑いを洩しながら御飯を食べていた。
「僕はそういう風なことに気がついたもんだから、せめて千鶴子さんのお祈りのときに云われる言葉だけでも、知って置きたいと
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